「麺どころさつま」のこだわり

「麺どころさつま」のこだわり

今から約33年前、昭和52年4月に天文館に「麺どころさつま」を開店いたしました。
鹿児島に本物の讃岐うどんを持って来たいと、うどんの神様と言われた「さぬき麺業 香川社長」にお願いして、数ヶ月間泊り込みで修行し、教えていただいたのがさつま麺業の手打ちうどんです。コシはあるけれど固いだけでない手打ち讃岐うどんを守りつづけています。

手打ち讃岐うどんは、水・小麦粉・塩だけでできています。
だから素材の吟味が第一ですが、製麺技術と正直さで味に差がでます。同じ生地から切り出されたうどんが、外はとろ~り、中はもっちりとした食感をだすミラクル!細かいグルテンがしっかりできているかが勝負です。毎日、讃岐うどん伝統の仕事を、手を抜かず、丁寧に重ねれば、うどんは応えてくれます。

うどん作りは、毎朝の水くみから始まります。
シラス台地にゆっくりと濾過された大重谷湧水は、水の美味しさだけでなく、クラスターが小さいので麺のきめ細かさが一味違うと思っています。その日の気温・湿度や小麦粉の状態によって、水量と塩度を変えます。この加減がこの道30年うどん職人の腕の見せ所です。

均等にすばやく加水し、生地をこね踏み鍛えます。
鍛えては折り返し、鍛えては折り返し、生地と会話しながら、何度も何度も鍛え上げます。延々と続く重労働ですが、これがうどんのコシを決めますので手を抜けません。鍛えた生地をここで一度寝かせます。
うどんは寝かせている間にグルテンができます。まさに寝る子は育つ、これが機械化できない理由です。

寝覚めの生地を、今度は丸く丸くこね1.25kgのうどん玉にします。
丸い玉にすることで、立体的にグルテンがしっかりと張り巡らされるのです。
本場讃岐でも機械化が進む中、このうどん玉が手打ちうどんの秘密です。さらにうどん玉を定温庫でゆっくり寝かします。

翌朝、グルテンがきっちりと育ったうどん玉を伸ばします。
ここで大事なのは、せっかくのグルテンを切らぬように、ゆっくりゆっくり伸ばすことです。まずは座布団のような形に伸ばし、少し寝かせて生地を安定させます。そして麺棒とローラーで徐々に徐々に薄くします。
機械でいっぺんに伸ばしたら簡単ですが、見た目は同じでも中ではグルテンの切れたうどん麺になってしまいます。たてに横に生地を優しくなでがら、心を込めて伸ばします。

約直径1m強に伸ばしたら、切りです。
鋭い大包丁で幅8mmに切ります。この角がスパッと立ったいわゆるつづみ型の麺線はうどんの顔です。均一でないと茹でムラになります。

私たちは、茹で釜に120リットルの特注大型圧力釜を使っています。
大変大きな設備ですし、取り扱いの難しい圧力釜は、全国的に見ても珍しいのですが、ふんわりと茹で上がる圧力釜の魅力に惹かれ、採用しています。うどんの仕上げ、茹では一発勝負です。麺の様子をみながら高温高圧で12~15分一気に茹で上げ、7分蒸らします。

固いだけでない、柔らかいだけでない。
外はとろ~り、中はもっちり。8mmの麺の中にあるミラクル!本当に手打ち讃岐うどんは美味しいですよね。これからも、理想の手打ちうどんを目指して、伝統を守り、挑戦してまりいます。

化学調味料に頼らない、スープの秘密は次回お届けします。